佐賀県の片田舎に住む高校三年生、副島祐樹は大学受験を控え、上手くいかない人間関係や成績不振、出来の良い弟と比較される日々に悶々と焦りを募らせていた。そして迎えた大学入学共通テストでカンニングしたことがバレた祐樹は、全てを捨てて深い森へと逃げ込む。 そこで出会ったのは、自己責任の名の下に、押し付けられたルールのない世界で生きるために川の水を汲んで運び、山の獣を狩って自給自足の暮らしを営む数奇な人々のコミュニティ。野良妊婦のソル、コミュニティで生まれ育ち力比べだけに情熱を燃やすアキ、両親に愛されなかった心の傷を隠してセックスに逃げようとするサクなど、欠陥だらけで変人揃いの曲者たちとの共同生活を通して、祐樹に少しずつ変化が見られていく…。