神戸三宮駅前の商店街、中華そば屋の万来軒は、隆子、ビリーなどチンピラ愚連隊の巣である。隆子は病身の母と、銀行に勤める姉英子との三人暮しだったが年頃の反抗期でチンピラの仲間に入っていた。彼女は二世のビリーに首ったけで金銭を貢いでいた。一方、英子は相愛の館野一郎との逢瀬も断って母の看病を続けたがその母は、ビリーに貢ぐためダイヤを盗んだ隆子が警察にあげられたショックで急死した。隆子は釈放されたが失踪、英子は一郎の愛に僅かに慰められる日が続いた。ある日、英子は横浜港に隆子のらしい死体が浮上ったとの警察の報せを受けた。行ってみると死体は果して妹。英子は、そこで知合った娼婦の口から、隆子がビリーのために娼婦になったこと、外地に売られるのを嫌がって殺された、という意外な事実を知った。英子は妹の死を究明、ビリーを訪ねて復讐をしようと決心、酒場の女給となった。やがて酒場に現れたビリーと付合ううち英子は、ビリーの悪事の証拠を握るが彼女も女、ビリーに犯されてしまった。ビリーは隆子のときのように、征服した強みから英子に金を無心、はては、岩本ときが牛耳る売娼窟に売飛ばした。ときには通雄という真面目な息子がいたが、英子は彼も復讐の道具とし、手練手管で迫り、遂にビリーを射殺させた。警察に曳かれる通雄を英子は複雑な気持で見送った。彼女の体は、通雄を、もはや放しがたいものになっていたのだ。迎えにきた一郎に、英子は、彼への愛の変らぬことを口にしながらも、通雄を忘れえぬ肉体の反抗を訴えて、迎えを断った。「浅ましい女になった……」と、英子の頬に冷い涙が流れていった。